日本での仕事
中華系マレーシア人と結婚される予定、という方から、スンがどうやって日本で仕事を見つけたのか、というご質問があったので、その答え、というわけではないが、これまでの経験を少し振り返りながら書いてみたいと思う。
○中華系の夢、それは会社設立
マレーシアと日本の経済のあり方を見て、一番大きな違いではないか、と私が感じるのは、マレーシアでは会社を設立するのが簡単(というか少々意欲があれば、自分の会社を作るのは当たり前、ぐらいな感じ)らしい、ということ。
スンに聞いてみたところ、中華系マレーシア人の約80%ぐらいが自営業らしい。それを聞いて、なるほど、と思うのが、町を車で走っていると、小さな商店や小さな工場などがたくさん目に入ってくることだ。スンのお父さんもそうだが、スンの周りにも、会社を持っている人が多い。
そんな環境で育っているので、スンが日本に来たときも、日本で会社を設立して、一儲けしようという野心を持っていた。きっと、日本には大きなチャンスが眠っているに違いない・・・と。
しかし、かなり成熟している日本のマーケットでは、新しいチャンスを見つけるのは、そう簡単ではない。
それに加え、1円で会社を設立できるとはいえ、様々な法律的な手続きをクリアするには、それなりの元手となるお金と日本語能力、そして会社設立の知識がなければ困難だ。また、可能であれば、信頼のできる日本人の仲間がいることも望ましいが、スンはこの点でかなり痛手を負ったので、日本人と会社を設立するのであれば、よほど信頼できる人でないと難しい、というのが現実だろう。
○日本語能力
日本で仕事をする以上、日本語能力は絶対に必要だ、とこの4年間、感じることばかりだった。会社設立の手続きもしかり、就職活動しようとしても基本要件として日本語能力が挙げられているということもしかり。
それどころか、母国語である中国語をいかそうと思っても、中国人マーケットでは、マレーシア国籍の「中華系」より、やはり大陸の中国人が優先されるのではないか、と感じることもよくあった。大陸の中国人より、よっぽどたくさん中国語の方言が話せるのにな・・・、と内心、悔しい思いをすることもあった。
○結局は、ネットワーク
もちろん、野心家・スン(?)の会社設立の夢は消えていないが、その前に基盤作りと社会経験を、ということで、仕事を始めた。最初のJICAの仕事も、今の仕事も、結局は友人からの紹介された仕事だった。
私の分析では、日本の一般企業における外国人採用率はまだまだ低く、日本の会社に勤務する外国人の多くは本国から派遣されてきている人たちだと思われる。日本で外国人を採用するケースのほとんどは、語学学校やその関連ではないか、と感じるほどだ。つまり、日本で一般企業に就職し、日本人と対等な仕事をするにはとても狭き門をくぐらなければならないため、そこで採用されるためには経歴書だけでは勝算はあまりなく、面接などで人格を見て判断してもらうところまでたどりつかなければ、採用の見込みは低いのだ。だからこそ、一般公開されていない採用情報をもらったり、一足飛びに面接をさせてもらえるような紹介ルートは欠かせない。特に、英語がネイティブではない(欧米系ではない)場合はそうだと思う。
外国人労働者=低賃金労働者(=非欧米系外国人) というイメージが拭いきれないのが、残念ながら日本社会の現状だ。
一般企業では、日本語を話さない外国人を採用しても、周りとコミュニケーションも取れないし、資料作成も電話もできないので仕事にならない。そして残念ながら、平均的な日本人は仕事で使えるほどには英語能力に長けていない、ということが、外国人採用の門戸を狭める原因になっているのだろう。
○マレーシアとの違い
スンは日本に来たとき、私がすぐに友達に連絡を取り、仕事を見つけてくれることを期待していた。期待していた、というよりもそれが当たり前だと思っていた。逆に、私がマレーシアに行っていたとしたら、スンはすぐに私が仕事をできるところを探してくれただろう。
世界中で華僑の人々が結束し、経済成長している大きな要因は、このネットワークの強さにあるのだと思う。
残念ながら、私の文化にはまだその時点で、人に頼ったり迷惑をかけることを美徳とする文化がなかったので、その期待に沿うことができなかった。
申し訳なかったと思うと同時に、結局は自分のネットワークで仕事を見つけ、自分の力で採用まで結びつけたスンに、心の中で大きな拍手を贈っている。
.
| 固定リンク


コメント